第2話【好きな人】

ある日の放課後・・・・


   「あの、、、好きです」

東棟にぽつんと離れて立っている音楽室へ向かう渡り廊下
放課後にここをとおるひとはめったにいなく
告白するにはうってつけの場所だった
現に俺がここで告られたのはこれで3度目

目の前にいるのは見たことがない女の子
きっと学年が違うのだろう
俺は多分同じ学年の女の子なら顔と名前は大体わかる
・・・タラシってわけじゃないよ?


秋史「えっと、1年じゃないですよね?」

言われた女の子は自分が自己紹介もしてないことに気づいて
あわててこうまくしたてた

   「あっ、えっと、ごめんなさい
    2年の原田葵です・・・年上いやですか?」

秋史「あ、いやそういうんじゃなくって・・・見たことない人だったから」

おっと、本人を目の前にしてみたことないってのは失礼だった

秋史「すいません、同じ学年覚えるので精一杯で」

葵 「いいんです
   あの、、、友達からでも無理ですか?」

秋史「・・・好きな人がいるので・・・すいません」

葵 「そうですか・・・わかりました
   ありがとうございます、はっきり言ってくれて・・・じゃ」


そういうと原田葵さんは俺に軽く頭をさげて帰っていった



   「木村くんっ!」

後ろから声を掛けられて振り向くと江藤さんだった

秋史「江藤さん・・・びっくりした」
冬子「アハハ、ごめんごめん
   ねぇ、今告白されてたでしょー??」

江藤さんはそういって俺のわき腹をつんつんつついてくる

秋史「あー、うん・・・断ったけどね」
冬子「あたしあの人知ってるよ
   2年生の中で結構かわいいって有名だよ」
秋史「そうなんだ」
冬子「・・・ねぇ、どうして毎回断っちゃうの?」
秋史「・・・好きな人がいるから」
冬子「・・・そっかぁー・・・
   ねぇっ、好きな人ってだぁれ??あたしの知ってる人かなぁ?」
秋史「それはー・・・ひみつ」
冬子「えぇー気になるなぁ」
秋史「ハハッ まぁいいじゃん
   それよりさ、体育祭何でるの?」
冬子「あ、体育祭はね、春歌ちゃんと一緒に玉入れにでるよ!」


うまいこと話題を「好きな人」からそらせることができた
江藤さんはなかなか単純だ・・・と思う



「好きな人」・・・






俺は、江藤さん、君が好きなんだ

まぁ、まったく気づいてないだろうけど・・・
今はまだ「春歌の友達」としてでもいい
でもいつの日かきっと・・・



第3話【体育祭1】

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